今日は,情報モラルについて書いておきます。
なぜ,情報モラルを指導する必要があるのかという点については,
- インターネット上での誹謗中傷やいじめ
- インターネット上の犯罪や違法・有害情報の問題
が挙げられています。
誹謗中傷やいじめは,「学校裏サイト」(文部科学省は『学校非公式サイト』と呼ぶ)の問題が大きいのでしょう。これを全てつぶすのは,容易なことではないでしょう。
犯罪や違法・有害情報についても,いろいろと報道されますね。爆弾や毒ガスの作り方,違法ドラッグ,アダルトサイト,その他枚挙に暇がないほどの情報が氾濫しています。自分の心にフィルタリングできる子どもを育てようということなのでしょう。
情報モラルの定義は,
「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」
とされていて,具体的には,
- 他者への影響を考え,人権,知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつこと
- 危険回避など情報を正しく安全に利用できること
- コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわりを理解すること
の三つが書かれています。2番目と3番目については,モラルという範疇には入らない気もしますが,他に指導する場面がないので,ここに入っているのでしょうか。
そして,情報モラルに関わる学習活動としては,
- 情報発信による他人や社会への影響について考えさせる学習活動
- ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について考えさせる学習活動
- 情報には自他の権利があることを考えさせる学習活動
- 情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる学習活動
- 健康を害するような行動について考えさせる学習活動など
が挙げられています。
1番目は,殺人予告などの書き込みや,自殺幇助的なものなど,犯罪に直結することもあり,しっかり考えさせなければならないと思います。
2番目は,いわゆるネチケットという分野でしょう。
3番目は,モラルというよりは,ルールです。著作権,肖像権,個人情報その他,法律で定められているルールを教えることになるでしょう。
4番目は,情報リテラシーの学習活動であり,インターネットだけでなく,新聞やテレビなどのマス・メディアについても考えていかなければならないと思います。
5番目は,保健領域にかかわりが深くなりますが,コンピュータやケータイに依存してしまう心も含まれるのではないかと思います。
これらを,
「情報の収集,判断,処理,発信など情報を活用する各場面での情報モラルについて学習させることが重要」
なのだそうです。
つまり,情報モラルとして特設するのではなく,情報を活用する様々な場面に情報モラル指導を入れていくということになりますね。
最後に,学校や教師には,
「子どものインターネットの使い方の変化に伴い,学校や教師はその実態や影響に係る最新の情報の入手に努め,それに基づいた適切な指導に配慮することが重要である。」
という注文もつけられています。
子どもたちの使い方の変化に追いついて,最新の情報の入手ができ,それに基づいた適切な指導が出来る人って,あまり多くはありません。問題が整理され,活字になって発行された時には,すでに違う問題が発生してしまうように,進歩の方が速いのですから。
さらに,携帯電話の利用の問題に関しては,
「学校においては,家庭との連携を図りつつ,情報モラルを身に付けさせる指導を適切に行う必要がある。」
のだそうです。
ケータイを買い与えるのは,ほとんどの場合,保護者です。ですから,家庭との連携が必要なのは言うまでもありません。
先日,首相が発言し,ちょっとだけニュースになった「子どもにはケータイは不要」という意見は,解説には反映されませんでした。情報モラルを身につけさせ,正しく使わせなさいということなのでしょうか。
今のケータイが怖いのは,悪意がなくても,知らないうちに被害者になったり,簡単に加害者になったりできる点です。そういうことを,具体的に保護者に伝える機会を設けていくことが必要になると思います。
授業等における教師のICT活用については,次回に書きます。
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