新しい学習指導要領の解説より3
解説「総則編」の中の情報教育に関する部分を読んでみるシリーズも,今回が最終回。
最後は,教師が授業で活用するという内容です。
- 各教科等の指導に当たっては,教師がこれらの情報手段に加え,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ることも重要である。
これの中で,一番難しいのは,「適切な活用」でしょう。ただ使うのではなく,効果的に使わなければならないわけです。
それを,解説では,
これらの教材・教具を有効,適切に活用するためには,
- 教師はそれぞれの情報手段の操作に習熟するだけではなく
- それぞれ情報手段の特性を理解し,指導の効果を高める方法について絶えず研究すること
が求められる。
としています。
「それぞれの情報手段の操作に習熟するだけ」ではだめなのですね。コンピュータやソフトウェアの操作技術を高めることは,もちろん必要です。高い操作技術を持つことが最低限の条件です。でも,そこで終わりではないのです。
「それぞれの情報手段の特性を理解し,指導の効果を高める方法について絶えず研究することが求められる。」のですから,
- 授業の中のどんな場面で
- どんなメディア(コンテンツ)を
- どのように使うか
- それによって,どんな効果が期待できるのか
ということを,絶えず研究しなければならなくなりました。これは,情報教育の担当者だけではなく,全ての教師が行うことなのです。
さらに,ICT環境については,
- 校内のICT環境の整備に努め,児童も教師もいつでも使えるようにしておくことが重要である。
児童も教師もいつでも使えるというのは,実現できるでしょうか。Horryの現在の勤務校では実現されています。しかし,コンピュータ室に鍵がかかっている学校もあるでしょう。教室用のコンピュータが足りない学校もあるでしょう。これを実現するのは大変ですね。
また,児童が安心して情報手段を活用できるよう,
- 学校においては情報機器にフィルタリング機能の措置を講じる
- 情報セキュリティの確保などに十分配慮する
ことが必要である。と言っています。
フィルタリングは,現在,多くの学校で導入していることと思います。あまりきついと使い物にならないし,緩いとフィルタリングの効果はありません。フィルタリングがかかっているからと言って任せきってしまうことによって,不適切なページへの注意が足りなくなるなど,逆効果です。
いつでも自由に使える環境を提供すると,どうしてもセキュリティが甘くなりがちです。教師系と児童系のセグメントを明確に分け,多少使い勝手が悪くなっても,情報が盗まれる事態を避ける方向で考えなければならないと思います。
でも,一番,情報セキュリティを高めなければならないのは,それを扱う人間のセキュリティ意識なんですけどね。
とりあえず,総則編はこれで終わりです。次は,気が向いたら道徳編の情報モラルや各教科等でのICT活用について,分析してみたいと思います。
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