教育の情報化を阻害する伏兵

 学校が情報化するには,越えなければならないいくつかのハードルがあります。インフラ整備の問題,教員のスキルの問題などです。ところが,思わぬ伏兵がいることに気がつきました。

 教育の情報化を阻害している伏兵の名は,「文字」と言います。様々な書類を電子化しようとしたときに,必ず現れて,我々をアナログの世界に引きずり戻す働きをします。

 コンピュータには,たくさんの漢字が登録されています。ワープロ時代には,第1水準,第2水準なんていう言葉をよく目にしました。ところが,戸籍に登録されている文字の中には,コンピュータの中に入っていない異体字が数多く存在するのです。

 例を挙げて恐縮ですが,例えば,「渡辺」という姓の「辺」ですが,コンピュータで対応できるのは「邉」と「邊」の二文字だけです。この他にも,微妙に違う,たくさんの異体字が存在しているのです。群馬県でよく話題になるのが,「高橋」という姓です。「高」は「髙」がコンピュータに入っているのですが,「橋」の方はこの文字しか登録されていません。ところが,つくりの上の部分が有のような形になった異体字が存在するのです。真ん中の縦画が下まで突き抜けた「角」や上部が「土」になった「吉」もあります。

 学校の公文書は,戸籍の文字を基準にしますので,正しい文字で表記しようとすると,外字を作成するしかありません。しかし,作成した外字は,印刷するには向いていますが,機械が変わると使えません。ですから,データとしてやり取りをすることは不可能と言っていいでしょう。学校ごとに外字を登録すると,教育委員会が集約した時に外字が表示されないということになります。ですから,正式な書類には未だにゴム印が使われるのでしょう。

 「異体字を無理に表示しなくても良い」ということになれば,校務文書の情報化はグンと進むのではないかと思うのですが・・・。

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